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この度、布施琳太郎による超惑星的想像力のプロジェクト〈パビリオン・ゼロ〉の実施にあたって記者会見を行います。

記者会見『パビリオン・ゼロ』プロジェクト

日程:2025年1月15日
時間:19:00–20:30
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT]
一般の予約不要、入場無料、先着100名、リアルタイム配信+アーカイブ有

第一部:プレゼンテーション「パビリオン・ゼロからはじまる芸術」

現実と虚構の錯乱をリセットし、新しい基準において芸術を行う宣言として、複合的な企画である〈パビリオン・ゼロ〉について企画者の布施琳太郎がプレゼンテーションを行う。シンボルとロゴ、雑誌企画、展覧会の会場や参加作家などの全貌を公開。

第二部:布施琳太郎+落合陽一+椹木野衣「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」

今回のプロジェクト構想は、大阪・夢洲で開催される2025年日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)への違和感からはじまった。そこでシグネチャー・パビリオン「null2(いのちを磨く)」のプロデューサーである落合陽一氏、ゼロ年代に多数の万博論を著した椹木野衣氏を迎えて、これからの芸術と万博について議論する。

主催:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]


※ 本プロジェクトは、シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]「アート・インキュベーション・プログラム」の一環として制作されます。 記者に限らず、どなた様でも自由に来場いただけます。また当日はYouTubeチャンネルからの配信を行います。

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提供=東京都

記者会見に向けて(文=布施琳太郎)

第二次世界大戦終結から80年、阪神淡路大震災から30年の節目となる2025年、プロジェクト〈パビリオン・ゼロ〉が始動する。まるで「持続可能性」と「発展」をコインの裏表にしたようなテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)に対する「感性によるアナーキズム」として展覧会や雑誌刊行がなされる。

ディープフェイクが実在しないイメージを生成し、フェイクニュースによる世論工作すら可能な現代における危機とは、虚構によって現実が侵食されることではない。むしろ現実によって虚構が侵略されることだ。これは想像力の危機である。

この企画の中心にあるのは市外劇=ツアー型展覧会『パビリオン・ゼロ:空の水族園』という架空の水族園構想だ。空という文字に「ソラ」と「カラ」という読みを重ね合わせた本展は、都市の現実に演劇という虚構を重ねた寺山修司による「市街劇」という発明を参照している。寺山にとって「出会いの偶然性を想像力によって組織する」方法だった市街劇を、人類だけでない複数の〈いのち〉との出会いのために転用する意図については、記者会見と、それにあわせて公開されるステートメントで説明するつもりである。だが少なくとも、本展を通じて想像上の水族園を構想することは、現実から虚構を切り離し、想像力を再び私たちのものにする試みである。

しかし都内某所の陸上、空中、海上で実施される水族園構想だけが〈パビリオン・ゼロ〉ではない。批評や言説の不在が嘆かれる今日の美術業界に生きる布施なりの目線で、あくまで偶然の出会いのなかで、虚構と現実の関係をリセットするような「一次資料」を集めた雑誌『ドリーム・アイランド』も刊行する。おそらくこれまでの批評とは毛色が異なるテクストたちが集まるだろう本誌には、多数の人々がかかわることになる。

誰がかかわり、何がなされるのか、どのように参加、観測できるのか。その全容と意図については2025年1月15日の記者会見で明らかにする予定である。会見では布施琳太郎によるプレゼンテーションの後で、大阪・関西万博のシグネチャー・パビリオン「null2(いのちを磨く)」のプロデューサーである落合陽一氏、ゼロ年代に多数の万博論を著した批評家の椹木野衣氏を迎えての座談会も開催される(オンライン配信もあるので全国からアクセス可能)。

記者や批評家だけが集まるのではなく、この「出来事」をたくさんの方々によって目撃されることを期待している。また記者会見とは別で、以下の日程も確保していただきたい。

2月8日、2月9日:『パビリオン・ゼロ:空の水族園』
3月15日:『観測報告:空の証言』

虚構を、想像力を、再び私たちのものにしたい。
そのための旅路がいま、はじまる。

布施琳太郎について

『骰子美術館計画』2024年、撮影=竹久直樹

アーティストの布施琳太郎は、iPhone発売以降の極度に情報化した都市において困難になった「孤独」や「二人であること」が回復された景色を、批評や詩、小説、プログラムによって言語化しながら、それらの言葉たちを映像やインスタレーション、展覧会企画、Webページ、書籍、講義などとして提示してきました。

これまでの活動として、世界でひとりずつしかアクセスできないWebページを会場としたオンライン展覧会『隔離式濃厚接触室』(2020年)、大阪湾に面する造船工場跡地を600頁のハンドアウトを片手に巡るキュレーション展『沈黙のカテゴリー』(2021年)、目覚めると異形となっていたグレゴール・ザムザの隔離生活と家族によるケアを描いたカフカの『変身』を題材に全6フロアのビル全棟を用いて開催されたキュレーション展『惑星ザムザ』(2022年)などを自主企画してきました。それらの展覧会はアート業界を超えて多くの注目と動員を集めてきたと同時に、布施自身の作品は国立西洋美術館、金沢21世紀美術館、PARCO Museum Tokyoなどで展示されてきました。

さらに、これらの企画の副産物として執筆されたテクストと、雑誌などに発表してきた詩作をまとめた詩集『涙のカタログ』(PARCO出版)、二人という作者性についてラブレターの歴史から迫る批評集『ラブレターの書き方』(晶文社)などの著作も刊行しています。



©︎ Rintaro Fuse / Project Pavilion ZERO