ラブレターの書き方
批評
自主企画の講義にもとづいた批評集。社会正義でなければ、一方的で私的な語りであることも許されないラブレターという方法を通じて、今日の社会における制作の可能性を論じたデビュー作。
「本書が捉えようとするのは、すべてがつなげられた社会から脱出して二人の時間を過ごし、その後で、労働や学校、家族といったつながりへと帰っていくことを可能にする世界制作の方法である。つまり二人のあいだで接続と断絶を様々に組み替えて、自分たちの手でストーリーを作る方法の模索である。そうした行き来を可能にするのがラブレターなのだ」(本書より)
目次
序章 二人であることの孤独
第一部 ラブレターの歴史
第一章 代筆されたラブレター
恋文横丁における代筆文化 / 自動手記人形の主語 / 共に作る喜び
第二章 「私」の場所
寺山修司のラブレター / 日本語の問題 / 詩的な病い/病的な詩
第三章 「あなた」の場所
光年性のラブレター / 行為=場所としてのポスト / インターネットのなかのラブレター
第二部 恋人たちの共同体
第四章 ラブとは何か
恋愛の起源 / ロマン主義的恋愛 / ロマンティック・ラブ・イデオロギー
第五章 『魔法使いの弟子』
バタイユの恋愛論 / 運命というメビウス / 恋人たちの共同体
第六章 誤変換的リアリズム
二人であることの病い / 見えるものと、見えないもの / 誤変換の恋人
あとがき 作品からラブレターへ(コンテンツではない)
→ 冒頭試し読み
書評
鈴木成一『毎日新聞』2024年1月20日、朝刊
高松霞『ダ・ヴィンチ』2024年2月8日
藤田直哉『共同通信』2024年2月24日
青木識至『美術手帖』2024年2月24日
山崎晴太郎『GOETHE』2024年3月10日
椹木野衣『朝⽇新聞』2024年3月30日
インタビュー
『Future is NOW』未来定番研究所
『週刊文春』2024年2月8日号、文藝春秋
『an-an』2024年2月21日号、マガジンハウス
トークイベント
2023/12/9 布施琳太郎+布施琳太郎「ふたつになるためのメカニズム」NADiff a/p/a/r/t
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