布施琳太郎 / Rintaro Fuse

加速は分裂が生成も偶然かRE:を物語(ボクをキミの)

2015年

映像、ブルーシート、印刷物など

加速は分裂が生成も偶然かRE:を物語(ボクをキミの)

ステートメント

この文章は時代が必要とする三つの新しい概念を提示するために書かれています。それは「世界」と(リブログ)(メタテクスチャ)です。これらはボクの青春時代である「失われた20年」と呼ばれる期間が文化にもたらしたポジティブな面を取り出して解体し、表現へ昇華させるために用意されたものです。

現代において最も特徴的なことは、現実の人生が、自分の選択によって再帰的に変更される物語のようなものとなった点です。それはファンタジーの外側(現実)において現実のキミとボクの関係性を世界の終わりと接続させてしまいます。これがセカイ系以降の新しい世界認識「世界」です。実際にこの作品の中でボクはひとりの女の子と日本の政治問題(安保法案が成立するか否か)を結びつけて、現実のキミとボクを現実の世界の終わり(戦争の開戦)と接続しています。それは偶然の日付の一致を必然と捉えることで成立しています。ボクたちは世界そのものを、自分の人生を、物語として享受しているのです。

(リブログ)(メタテクスチャ)とは物語の表象方法です。「リブログ」とは他の文脈や歴史が形成したデータベースから思想や物語を無視して表象結果のみを盗用し、自らの思想や物語の表象として再利用することです。これは20世紀末のアプロプリエーションアートを連想させますが完全に異なるものです。アプロプリエーショニズムは盗用そのものがコンセプトであり物語でした。ですがボクの提唱するリブログでは盗用対象とは関係がない、作家の語りたい物語の表象のために盗用するのです。

「メタテクスチャ」とはモノに本来付随する質感を自由に交換しながらより高次の質感を獲得することです。例えば3DCGで水を描いたとします。この水の流動性を保持したままに木のテクスチャや鉄のテクスチャへとテクスチャを交換することは容易いことです。ボクはこのような質感の交換に値することを現実空間で行われる展示で実現させることで空間の空気そのもののメタテクスチャの獲得に挑戦しています。そしてインターネットやCG空間を人間の身体性へと還元することを試みています。

以上の(リブログ)(メタテクスチャ)の二つの手法を用いて「世界」という感覚に基づくボクの見ている現実世界を描くことがボクの作品の基本構造です。

展示写真
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