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ラブレターの書き方

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この度、布施琳太郎の自主企画による連続講義「ラブレターの書き方」を開催いたします。

本講義は2022年12月に東京大学と女子美術大学で布施が行った講義『ラブレターの書き方:美術史以外のアート』に基づいた企画です。内容としては、これまでの布施琳太郎の活動のなかで育まれてきた「新しい孤独」や「死体」、「ラブレター」といった概念を整理して発展させながら、国内外の議論や実践を踏まえつつ「ラブレターの書き方」として体系化する試みでした。
それぞれ学生限定の90分程度の講義でしたが、すでに100名近い方が聴講してくださっています。そして、たくさんの質問や意見交換を通じて再考すべき部分、新たに調べるべき対象が多くあることを知りました。しかしそれと同時に90分の講義ではなく、より多くの時間をかけて丁寧に語ることが必要かつ可能な内容であることを実感したのも事実です。
こうした反省を踏まえつつ、さらに多くの方に聞いていただきたいと確信しました。そこで、この度自ら企画した公開イベントとして全6回×90分=540分の連続講義として「ラブレターの書き方」を実施いたします。また最終的には書籍化して出版することも計画しております。

すべてが自主運営となりますので、いたらない部分もあるかと思いますが、受講を検討していただけたら幸いです。

>開催概要

名称 ラブレターの書き方
講師 布施琳太郎
開催方法 現地開催+オンライン録画配信
時間 14:30〜16:30
日程 第1回:2023年1月14日
第2回:2023年1月28日
第3回:2023年2月11日
第4回:2023年2月25日
第5回:2023年3月18日
第6回:2023年4月1日  
会場 東京都内会議室
(参加者には開催1週間前までに住所を送信いたします)
料金 A 各回毎の配信購入:1500円
B 全回アーカイブ配信セット:6000円
C 全回アーカイブ配信+現地セット:10000円
D 20歳以下or大学学部生only 全回配信+現地セット:5000円
※すべてに当日資料(PDF)の配布を含みます
予約 Googleフォーム
主催 布施琳太郎
問い合わせ rintarofuse@gmail.com



>講義内容(予告なく調整される場合があります)

これまでの現代美術、美術史において取りこぼされてきた実践や作品を「ラブレターの書き方」として論じる講義となります。そのため既存の美術史の知識は必要ありません。ですが極端な意見や考え方が次々と現れるかと思います。具体的には宇宙空間をただよう無人探査機から手のひらサイズのデジタルガジェット、一遍の詩、遠距離恋愛のために作られた個人的なウェブサイト、漫画、小説、ファッション、脳科学、音楽、近代美術、そして洞窟壁画にいたるまでを「『私』が消滅するまで、想いを伝えたい誰かと向き合うことの歴史」として議論し尽くします。

第1回:導入篇
第16回美術手帖芸術評論募集に佳作入選した論考『新しい孤独』(2019)を起点として、iPhoneの発売以降の文化の変化について考えます。具体的には、アップルをはじめとした企業の設計思想の確認、ポスト・インターネットアートと呼ばれる現代美術における動向の批判的な再検討、ベルリンの雑誌「032c」の特集「ビッグフラットナウ」において思考された現在のファッションや文化のあり方、そしてVtuberやシングルボードコンピューティングにおける身体のモジュラー化について、『我々は人間なのか:デザインと人間をめぐる考古学的覚書き』(2016)と比較しながら語ります。今後の講義の前提となる予定です。
議論の対象:スティーブ・ジョブズ/Joshua Citarella/Amalia Ulman/Hito Steyerl/Jack Self/ビアトリス・コロミーナ/ヴァージル・アブロー/ヴァイオレット・エヴァーガーデンなど

第2回:芸術作品からラブレターへ(コンテンツではない)
前回の講義を踏まえながら、今日の社会における「作品からコンテンツへの移行」に対して「ラブレター」というアイデアを提案します。宇宙空間を漂うボイジャーのゴールデンレコードを起点としてラブレターを定義しながら、インターネット黎明期におけるワールドワイドウェブを用いたラブレターの交換、新海誠による『ほしのこえ』、そして自作の解説を通じて「ラブレターの書き方」の基本的な構想を論じます。
議論の対象:ボイジャーのレコード/Auriea Harvey/Michaël Samyn/新海誠など

第3回:私の消滅
一部は前回講義で話す可能性もありますが、近代化して以降の日本語におけるの述語の問題、ロラン・バルトによる「作者の死」、情報技術が浸透して以降の詩人としての最果タヒや水沢なおによる実践、またバタイユを介した洞窟壁画論やイヴ・クラインの作品の読解を通じて「私」の不安定さについて考えます。つまり作者の単位の再定義が第3回の目的です。
議論の対象:最果タヒ/水沢なお/俵万智/永井均/柄谷行人/ロラン・バルト/ジョルジュ・バタイユ/ジュディス・バトラー/洞窟壁画/イヴ・クラインなど

第4回:他化=変質、そして破壊的可塑性
これまでの内容を踏まえつつ「人格の破壊的可塑性」と、それを介した芸術実践について考えます。中心にはフランスの哲学者であるカトリーヌ・マラブーによる「可塑性」と、ジョルジュ・バタイユによる「他化=変質」についての議論が置かれることになります。その上で、全盛期は20万人以上のフォロワーを抱え社会現象となったツイッターアカウントのサザエBot、『ブラックボックス展』、Oneohtrix Point Neverと現代美術家のジョン・ラフマンのコラボレーションによるミュージッククリップ『Still Life(betamale)』などを論じます。最終的にはヨーゼフ・ボイスにおける「社会彫刻」、そして大塚英志の「大衆文化論」を批判的に検討します。
議論の対象:カトリーヌ・マラブー/ジョルジュ・バタイユ/サザエbot/松田将英/Oneohtrix Point Never/ジョン・ラフマン/大塚英志など

第5回:人工身体論としてのマスターベーションの考察
押見修造による漫画(『ユウタイノヴァ』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『悪の花』『ぼくは麻理のなか』など)と、村田沙耶香の小説(『授乳』『コンビニ人間』『消滅世界』など)の読解を中心に、寺山修司やルソー、金塚貞文、フェミニズム、そしてTENGAをはじめとした企業におけるオナニスム論/自慰論を再考する。キリスト教社会において長らく禁忌とされてきたマスターベーション(オナニー)は、なぜ禁じられなければならなかったのか。近世以前の日本においてはどのように位置付けられてきたのか。「記憶の技術」という点で、マスターベーションを問い直す。
議論の対象:押見修造/寺山修司/ルソー/金塚貞文/イマニュエル・カント/村田沙耶香など

第6回:新たなる制作論
おそらく「ラブレター」とは文学と美術を再び交差させることを第一条件とする。その上で最終回としてこれまでの議論の内容を要約しながら、あらためて「ラブレターの書き方」を定義し、歴史として記し直す。ここまでの講義を踏まえてゼロから構築する予定。


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