この度、雑誌『ドリーム・アイランド』を刊行する。第一号は限定500部の無料配布と、その後のPDF版の配信を予定している。特集テーマは「大地=根拠(ground)」だ。

本誌の編集で重視されるのは「一次資料」を集めることだ。自室での読書と検索によって執筆されたテクストではなく、直接的な出会い、調査、聞き取り、作品制作や建築設計の経験などによって蓄積された知に基づいた〈ナマの言葉〉が『ドリーム・アイランド』を構成する。つまりChatGPTなどの人工知能には、まだ学習することのできない資料として、アーティストだけでなく小説家、建築家、漫画家などによる記事が集められるのだ。

批評なき時代の芸術(アート)の役割とはなんだろうか?

まず批評的であるか否かは、知的な記号操作の複雑さによって計られるのではなく、これまでになかった「共通の話題」をつくることによって果たされるのだと私は考えている。『ドリーム・アイランド』が試みるのは議論のテーブルをつくることなのだ。この雑誌を通じて、本来並ぶことのない人々が並んでいくこと。それこそが本誌の批評性である。

そのための言説を布施琳太郎ひとりでつむぐことはできない。だからたくさんの知が必要なのである。そのために力を貸してもらいながら、いま新たな批評誌が稼働する。

雑誌『ドリーム・アイランド』

刊行:3月11日(予定)
編集:布施琳太郎+酒井瑛作
デザイン:八木幣二郎
発行:Planetary Books

寄稿:伊藤道史、井上岳、布施琳太郎、水野幸司、村井琴音、米澤柊
インタビュー:魚豊(+布施琳太郎)



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